大切なもの

今まで生きてきて、
『これを失ったら生きていけない』と、
何度思ったことだろう。
まあ、私はそういう思い込みをしがちなところはあるけれど、
誰しも一度くらいは思ったことがあるんじゃないかな。
実際、いろんなものを失って、
でもこうして生きている。
なくしたら死んでしまうというのは一種狂気だ。
それは、その物なりヒトなりを、
深く深く思っているように見えて、
実はそうでもないのかもしれない。
どこかでなくした時の悲劇的な情景を、
待ち望んでもいるから。
最近彼が家を買いたいと言い出した。
もしも、自分が死んでしまっても、
残された私や子供が、家さえあればなんとか生きていけるだろうと。
これも、居もしない子供のことなんて考えちゃって、
多分に妄想的ではあるけれど、
彼は自分が死んでも私が生きてゆくと思っている。
私も生きていくんだろうなと思っている。
そういうのがいいのだな、と最近は思う。