久しぶりに

飲んだ帰り道、背後から女の子二人が着いてくる。
何やら外国語みたいに聞こえる若者言葉で、喋っている。
「ほにゃらら〜?ほにゃほにゃらら」
「やめてよ!」
バシッ。
「ほにゃらら、ほにゃにゃ?ほにゃにゃ?」
「やめてよ!」
ペシッ。
「ほにゃ、ほにゃっ?ほにゃららぁ」
「やめてよ!」
パチン。
思わず吹き出しそうになった。
どうやら二人ともかなりの御酩酊。
片方が何か言うと、もう片方が必ず「やめてよ!」と言っては相手を叩く。
いったい何について話しているのか分からない。
時々「やめてよ」が「違うよ」に変わるものの、
飽きることなく繰り返している。
コンビニに寄ってタバコを買い、ふと前を見るとさっきの二人が歩いている。
まったく彼女たちの会話に変化はない。
そして、なぜだか私の家への道を進んでいく。
だから私は壊れた人形のような彼女たちの後を着いて歩く。
家へと通じる最後の角にさしかかる。
お願い、曲がらないで。
近所に住んでいないで。
まっすぐ前に進んでください。
お願いしたら、彼女たちはそのまま直進した。
ほっとした。